個人19

突然法外な更新料を要求された。こんな時どうするの!?

背景
 ご相談者の中山さん(仮名)は父親が創業した会社を継いで、都内で事業を行っています。本社建物の敷地となる土地(約100坪)は近所の地主から賃借しており、毎年250万円程度の地代を支払っています。
 ある日、地主の代理人を名乗る不動産業者が中山さんの所へやってきて「土地の更新の時期が来ています。更新料として2,500万円払ってもらうことになっています」と唐突に言われました。話を聞いた中山さんはびっくりです。土地は父親の代からもう何十年も借りていますが、今まで更新料など払ったことはありません。会社の資金繰りもたいへんな時期であり、無用な支出はできるだけ減らしたいと考えています。ただ地主とは旧知の仲であり、関係をこじらせてしまうのも支障が残るため、何か円満に解決できる方法はないかと頭を悩ませています。

ご不安・ご希望
 今回のご相談にあたり、中山さんのご不安・ご希望は以下のとおりです。
・更新料は本当に払わなければいけないものなのか
・更新料を払うとした場合、出費は極力最低限に抑えたい
・地主との関係は悪化させたくない

アドバイス
 まず、相手の不動産業者に契約書の有無と、提示された2,500万円の算定根拠を問いただしました。契約書は作成しておらず、金額の根拠もいいかげんなものでした。当方で妥当と思われる金額と根拠を提示し交渉を続けた結果、賃貸期間30年で契約を更新し、路線価に基づく更新料1,100万円を払うということでお互い合意に至りました。

ポイント
 更新料は法的には当然に支払う義務があるものではありません。従って更新料の支払を拒絶したからといって、即座に土地を追い出されたりするということはありません(契約書に更新料を支払う旨の記載がある場合を除きます)。ただし 更新料を支払う慣習がある地域では、更新料のやり取りは実際に行われているのが現状です。
・ 更新料の金額は一般的には以下の算式で計算されます。
更新料=更地価格×借地権割合×割引率(5~10%)
更地価格は①実勢価格②公示価格③路線価 などを基準にして算出します。借地権割合や割引率は地域によって様々です。ちなみに今回不動産業者が提示した2,500万円は、3年前の土地がいちばん高い時期の実勢価格を基準として算出したものでした。
・ 地主との関係をこじらせたくないというお客様の意向もあり、路線価に10%の割引率を適用して更新料を交渉することとなりました。1坪当たり路線価が160万円、借地権割合が70%の土地なので
更新料=160万円×100坪×70%×10%=1,120万円≒1,100万円で交渉に臨み、合意に至りました。

著者ご紹介

税理士・ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引主任者
野村證券㈱で約10年間、お客様目線でのコンプライアンス業務・接客業務に従事。現在は税理士法人にて税理士業務全般を行っている。相続・事業承継に関する事案に数多く携わり、資金繰りや資産運用に関する相談も得意としている。

主担当者コメント
 本件では、更新料の支払は当然の義務ではないので、支払を拒み続けることも選択肢の一つではあります。ただし、その場合は建物が老朽化したときに建替えについての承諾が得られない危険があるなど、トラブルの火種は残ったままです。地主との今後の関係も考えれば適切な更新料を払った方がいい場合は多いのかと思います。
 また今回の事例に限らず、不動産業者は初めに価格の提示をするにあたり、通常の相場よりもかなり高い値段を提示することが多いようです。このような話を受けた場合は即断せず、まずはプロの専門家に相談してみることが大切です。

弁護士からのコメント
 不動産賃貸においては地域ごとに様々な慣習がありますが、それでも契約書が基本となりますので、何かあった場合、まずは契約書の記載を確認することになります。
 しかしながら、契約書に記載があればそれでよいということではなく、借地借家法が強行法規として適用されますので、同法に反する契約書記載は無効となります。
 さらに、借地借家法は平成4年8月1日に施行されましたが、同日以前から引き続く借地契約・借家契約の更新の場合には、旧法(借地法・借家法)が適用され、微妙に規定が異なります。
 さらに加えて、不動産賃貸は継続的取引であり、生活や事業の基盤ともなるので、一度きりの場当たり的解決では将来に禍根を残すことにもなりかねず、当事者の感情への配慮も不可欠です。
 このように、不動産賃貸については検討すべき点が山積みです。
 
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