個人17

夢のマイホーム、その夢のあと

背景
 相談者の渡さん(仮名 20代)は、内縁の妻と、渡さんの父親と3人暮らしです。渡さんは、高校中退後、アルバイトを転々としていましたが、コンビニエンスストアのアルバイトで仕事の成果を認められ、3年前、コンビニエンスストアの店長になりました。
 そんな渡さんの頭に浮かんだのが、夢のマイホーム。銀行からも、住宅ローン減税などで今が家を買うチャンスと背中を押されたので、思い切って銀行から約2500万円の住宅ローンを組んでマンションを購入しました。住宅ローンの毎月の返済額は金8万円でしたので、家賃程度と考えれば安いと思っていました。
 ところが、その後、渡さんのコンビニエンスストアが、不況の影響で閉鎖となってしまいました。さらに、渡さんの父親が行っていた事業も失敗し、父親の連帯保証人となっていた渡さんにも返済の督促が来るようになりました。
 渡さんは、日雇い労働の仕事をして頑張っていましたが、とうとう住宅ローンの支払いができなくなってしまい、銀行から自宅マンションを差し押さえられてしまいました。

ご不安
 自宅マンションが差し押さえられた後、何がどう進むのか分からず、明日にでも家を出て行かなければならないのではないかと不安でなりません。また、父親の連帯保証についても、今は父親が頑張っていますが、今後父親が返しきれなくなった場合にはどうなるのか心配です。  
家を守るのには個人再生という手続があるという話も聞きましたが、それで助かるのか気になります。

アドバイス
1 住宅ローンの延滞と立ち退きについて
 住宅ローン延滞によって自宅が差押えを受けた場合、手続的には、その後、裁判所を介した競売手続によって買い主が決まります。その買い主が新たな所有者となるので、その買い主から立ち退きを請求されれば応じなければならないことになります。
 但し、実際には、競売手続だと売却価格が低くなるので、競売手続によらず銀行が自ら買い手を見つけてきて売買を成立させようとすることが通常です(任意競売)。
 いずれにせよ、買い手が決まるまでには数ヶ月を要するので、少なくともその間は立ち退きを迫られるということはありません。
2 個人再生手続で家を守れるか?
 裁判所の関与する個人再生手続を利用すると、差押手続は中止となり、延滞していた住宅ローンも再度組み直して支払うことができます。また、その他債務も相当程度減額させることができます。従って、個人再生手続を利用できれば、マイホームを手放さないで済む「可能性」があります。
 ただ、個人再生手続を利用するためには、住宅ローン及びその他借金を支払っていけるだけの継続的な収入があることが絶対条件であり、日雇い労働ということでは厳しい面が否めません。
 また、お父さんの債務の保証がどの程度の負担となるのか現時点では不明であり、その点を調査しなければ、正しい見通しは示せません。
3 個人再生手続が不可能な場合には、おそらく破産手続を選択せざるをえないことになると思われます。家は手放すことになるものの、借金を全て清算させて再度人生をやり直す。簡単な事ではありませんが、やる気のある若い渡さんであれば、それも十分に可能でしょう。
4 結局、どのような手続がとれるかは渡さんの今後の就職状況とお父さんの債務の状況次第ということになります。また、そもそも家にどれほどこだわるべきなのかも、立ち止まって考える必要がありそうです。
仕事が決まり次第ご連絡を頂くこと、保証債務の債権者を洗い出してもらうことを宿題として、この日の相談は終わりました。

著者ご紹介

弁護士・ファイナンシャルプランナー
2009年5月まで、弁護士過疎問題解消のため設立された、秋田県の能代ひまわり基金法律事務所所長を務める。
現在は東京にて活動し、一般民事(消費者被害・労働・交通事故・相続・不動産関連・債務整理等)、刑事、中小企業法務を広く手がける。

主担当者コメント
 差押えを受ける前の段階でのご相談であれば、銀行と住宅ローンの返済方法について話し合いを行うという対処もありえたところでした。
更にいえば、もともと渡さんの収入額と貯金額では毎月8万円の返済は厳しかったと思われ、そもそも住宅ローンを組む前の段階でのご相談であれば、問題を未然に避け得た可能性がありました。
もっと早くご相談を頂ければと悔やまれる事案でした。

不動産FPからのコメント
 不動産を購入するという行為は、不動産と言う大きな資産を持つと同時にと住宅ローンと言うこれまた大きな負債を抱える事になります。
  日本の不動産市場においては、新築不動産と中古不動産との間に価格のギヤップが大きく、特に新築不動産を購入する事は、購入時点から大きなリスクを抱える事になります。不動産購入時には、常にその時点での不動産の売却価格に注意する必要があります。
 
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