個人16

老後の生活が設計できない!

背景
 相談者の富永さん(仮名 60代)は、夫とは早くに死別して現在一人暮らしです。富永さんは古くから自営業を行っていましたが、その後様々なトラブルに見舞われ、現在では店を閉め、過去に事業を展開している時に購入した不動産収入と夫の遺族年金で生活しています。
 しかし、保有している不動産にはそれぞれローンがあり、毎月の家計の資金繰りは決して楽ではありません。また、リーマンショックで保有していた金融資産が大きく目減りしてしまい、今後の生活が不安になって夜も眠れない状態が続いてしまいました。

ご不安
 手元にあった金融資産(株式)がリーマンショックの影響で大きく減ってしまい、毎月のキャッシュフローも大幅な赤字の為に、資金がいつ底を尽くのか不安で仕方ありません
 一体どのようにしたら今後の生活を送る事ができるのか、どうしたら良いのか、誰に相談したら良いのかも良くわかりません。

アドバイス
1 債務整理について
 個人のバランスシートを作成すると、不動産に関わるローンは総額は大きいものの、不動産の時価評価もかなりあるために資産超過であることがわかりました。
 このことから全不動産を売却すれば、手元に数千万の資金が残る事を理解して頂き、まずは安心して頂きました。
バランスシート(貸借対照表)

単位:万円
現金
10
負債
 
株・投資信託
200
不動産担保ローン
950
不動産
 
不動産ローン
 
アパートA
4,000
アパートA
3,000
区分所有B
950
区分所有B
0
区分所有C
1,300
区分所有C
67
区分所有(自宅)D
2,000
区分所有(自宅)D
2,000
賃料債権(未回収)
2,800
純資産
5,243
総資産
11,260
 
11,260

2 キャッシュフロー改善について
 しかし、毎月のキャッシュフローは大幅な赤字でありこれを改善する事が最優先事項となりました。
 2009年に中小企業金融円滑化法が成立し、個人のローンに対するリスケジュールに対しても、金融機関が比較的容易に交渉に応じてくれるようになりました。この場合にもアパートと区分所有Dのローン借入先にリスケジュールの依頼を行う事で毎月のキャッシュフローが大きく改善しました。
3 債務の整理
 しかし、キャッシュフローは改善したものの手元のキャッシュが少ない為に不動産の売却を行う事で、債務圧縮とキャッシュフローの改善を図ります。
 今回は区分所有Cを売却し、不動産担保ローンを返済することで、ローン支払いと区分所有の管理費などの支払いを無くし、手元のキャッシュを増やす事に成功しました。
4 賃料債権
 最後に賃料債権の回収です。こちらは事業を行っていた時代のトラブル債権ですが、弁護士に相談しながら強制執行手続きによって債権を回収中です。今後しばらくは、債権回収時期とキャッシュフローをみながらの行動が必要となります。

著者ご紹介

CFP®・証券アナリスト。総合リース会社にてファイナンス、不動産ベンチャーにて不動産仲介・投資実務を学び、2008年11月より株式会社マネーライフプランニング代表取締役。「個人のファイナンシャルリテラシーの向上」を目的に、個人向けの投資勉強会や株式投資クラブの運営など活動の範囲は幅広い。

主担当者コメント
 手元のキャッシュが少なくなった上に、毎月のキャッシュフローが赤字だとどうしても精神的に追い詰められた気持ちになります。しかし、今回のようにバランスシートを作成してみれば、特に高齢者の方は資産が超過しているケースが少なくありません。この点を理解して安心した上で、現実的に不動産売却を視野に入れながら対策を立てる事が重要です。

弁護士からのコメント
 債権回収は、対応が早期であればあるほど、また、相手に対する情報(住所・勤務先・生活状況等)が多ければ多いほど、成功確率が高まります。 従って、賃貸開始時にどのような情報を収集するか、どの段階で弁護士への債権回収依頼に踏み切るかといった点を普段より検討・準備しておくことが重要となります。
 
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