事業06

会社を作って起業がしたい

背景
 ご相談者の香里さん(仮名33歳)が、広告代理店を退職し、個人でWEBデザイナーの仕事を始めてから、7年が経ちます。自宅で子育てをしながらじっくり作業ができるので、これからも今のSOHOスタイルで仕事を続けたいと思っています。
 香里さんのWEBデザインは大変好評で、ある大手メディアから、ぜひ香里さんに仕事をしてもらいたいが、取引をするには法人化してほしいと言われました。

ご不安
 今まで、自分が会社を立ち上げることなど考えてもいなかった香里さん。
 どうすれば会社が作れるのか、まったくわかりません。何百万円もお金がかかるのではないかと、心配です。
 香里さんとしては、今、会社を立ち上げたとしても、子育てが一段落するまでの間は、大きな事務所を構えて大勢の従業員を雇っていくような事業の拡大はせずに、今までどおり地道に仕事をしていきたいと考えています。

アドバイス
 ひとことに会社といっても、一部上場の大会社から、社長1人のひとり会社まで、その中身はさまざまです。
 香里さんのような、小規模の会社を立ち上げる場合は、「株式譲渡制限株式会社」を「発起設立」するのが一般的です。
 設立は、下記の手順で進めることになり、手続自体の実費として、20~25万円を用意する必要があります。
 社長となる香里さんがまず決めておかなければいけないことは、次の点です。
1.会社の名称(商号)・・・・社名の前か後に「株式会社」をつけます。
2.事業目的・・・事業目的は「履歴事項証明書」に記載されます。会社の顔となるものです。
3.役員・・・香里さんが一人で取締役(代表取締役)に就任することも可能ですが、ご家族やビジネスパートナーに取締役として経営参加してもらうことも考えられます。
4.資本金の額・・・資本金1円から会社の設立はできますが、事業目的同様、「履歴事項証明書」に記載され、取引上の信用にかかわるので注意しましょう。資本金を1000万円以上で設立すると、消費税の免税事業者でなくなるので、特別な意味がなければ、避けましょう。
5.発起人・・・設立時の資本金を提供する株主となります。香里さんひとりの自己資金で立ち上げる場合は、発起人1名でも構いません。複数の発起人が資本金を分担しあう場合は、その割合を考えます。
6.決算期(事業年度)・・・特別な事情が無い限り、事業年度は1年としましょう。個人事業の兼ね合いも考え、決算する月を決めます。
7.本店所在地・・・自宅でもかまいません。

定款の作成
会社の「憲法」となる、定款を作成します。
会社名・事業目的・本店所在地・資本金の額・発起人(資本金を振り込んで最初の株主となる人)・取締役・代表取締役・決算期などを定めます。
定款の認証
本店所在地を管轄する公証役場にて、
公証人から定款の認証を受けます。
■公証役場に支払う定款認証費用は以下のとおりです。
収入印紙代・・・・・・ 4万円
(行政書士などに依頼し、電子定款認証を行った場合は不要)
定款認証手数料・・・・ 5万円
謄本2通の手数料 
およそ2,000円(ページ数により変動)
■発起人の印鑑証明書が必要です。
資本金の振込
発起人名義の個人銀行口座に資本金の振込をします。
登記申請
本店所在地を管轄する法務局に、株式会社設立の登記申請をします。
同時に、会社の「法人印」の登録をします。
(事前に印鑑の作成が必要です)
登記申請をした日が、「会社設立日」になります。
■登記申請にかかる費用は以下のとおりです。 
登録免許税  資本金の額の1,000分の7
(15万円に満たないときは、15万円)
■取締役の印鑑証明書が必要です。
登記完了
登記申請後、1週間ほどで登記手続きが完了し、「履歴事項証明書」などの証明書が取得できます。

 
 会社を設立するには、法律で定められたとおりの手順を踏めばよいですし、登記申請書類の様式は法務局のHPで公開されている様式に従えば作成可能です。何よりも事業目的等の会社内容を検討し、それを定款に落とし込むことに、ある程度の時間がかかることが見込まれます。
 会社を作る計画を起こしてから、登記完了するまでに1か月くらいの期間は余裕を持ちたいところです。
 取引先との関係などで、法人化しなくてはならない期日が決まっている場合は、特に気をつけましょう。
 また、法人設立後は、税務署や都道府県税事務所等に、法人設立の届出が必要です。提出期限がありますから、忘れないようにしましょう。

著者ご紹介

おぎゅう行政書士事務所・所長。行政書士・ファイナンシャルプランナー。
法律事務所・法テラス勤務を経て開業。会社設立、建設業・宅建業・風営等の許認可、ビザ申請に関する業務のほか、遺言・相続・成年後見・離婚などの家族に関する法務事務も、やさしく親身に行っている。

主担当者コメント
 香里さんの業務には許認可申請は必要ありませんが、建設業や不動産業、人材紹介や派遣業、旅行業など、一定の事業を新設法人で行おうとするときは、都道府県や官公庁に許可申請を行う必要があります。
 許可を受けるためには、定款の記載内容や資本金の額、役員の条件など、業種によって決められた要件があり、それらが不足していると、再度、定款の内容を変更したり、増資をしたり、人を探したりしなければならず、すぐに営業できない状態になってしまいます。
 また、許可申請後、許可が下りるまでには、だいたい1か月はかかります(業種によっても異なります)。
 法人設立後スムーズに業務が行えるよう、事前に専門家に相談しましょう。

税理士からのコメント
 法人を設立してからの重要な仕事の一つに税務に関する届出及び税務申告があります。まず設立の日から2ヶ月以内に税務署や都道府県税事務所等に「法人設立届出書」を提出します。その他「棚卸資産の評価方法の届出書」「減価償却資産の償却方法の届出書」「給与支払事務所等の開設届出書」等の提出書類があります。忘れてはいけないのが「青色申告の承認申請書」です。これは設立以後3ヶ月経過日と1期目終了日とのいずれか早い日の前日までに提出しなければなりません。この「青色申告の承認申請書」を提出することによって「青色申告法人」として、欠損金の繰越控除や少額減価償却資産の特例、各種特別償却や税額控除等の特典を受けることができるのです。
 また事業年度終了の日から2ヶ月以内に税務署等に確定申告書を提出しなければなりません。事前に手を打つことによって受けられる優遇規定や注意すべき項目が幾つかありますので、専門家と相談しながら経理作業を進めることをお勧めいたします。
 
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