事業02

決算対策での賢い保険活用法とは?

背景
 相談者は飲食店と食肉卸の会社を経営する50代の会社経営者・上野さん(仮名)。決算月が近いが、結構利益が出ているので節税対策として一部、全額損金扱いに出来る保険の利用を検討している。ただ全部掛け捨てはもったいないので、損金扱いに出来て且つ、積立になるようなものが良いが、何かないだろうか…?

ご不安
 経費として300~500万円くらいを落としたい。役員や比較的年次の長い社員にはいろいろ保険を掛けているので、若手の社員のためになるよう退職金積立をしてあげたい。今後の新規採用者にも随時掛けていきたいが、長期の継続になるのでなるべく管理が面倒でない方法でやりたい。

ポイント
 全額損金計上ができる解約払戻金付きのがん保険を提案。40歳以下の一般社員約20人を対象とする。
 この場合の主目的は退職金原資の積立であり「保険」自体はオマケだが、もし対象の従業員ががんに罹った場合は見舞金として保険金を従業員に支払うことになるので、見舞金規定を備えておくことも提案、見本をお渡しする。退職金規定については完備していた。
 大きなリスクとしては保険会社の破綻リスクと、税制改正リスクがある。特に保険料に関しての税制改正は過去にもあったことなので可能性としては十分考えられる。その際、もし一旦全て解約するなどの場合は全額益金計上となり、結局税金がかかってしまうので要注意。
 管理方法については、
①新規採用者を加入させる際、その都度保険証券が発行されると面倒なので、1つの証券番号でまとめて管理できないか。
②ずっと掛けていると内容等を忘れてしまうので、加入者や内容などが一目で分かるようにしておきたい。
等のご要望があった。
 ①については、新規加入の際はどうしても新たに証券番号が出てしまうので、別途管理用の名簿を作り、新規加入者がいた場合、または退職者が出た場合はその名簿を更新してお渡しするようにする。
 ②については、①の名簿と併せて管理用の専用ファイルを作成し、経年毎の払戻金額や毎年の保険料等の必要なデータは全てそこにファイリングしてお渡しした。

著者ご紹介

㈲クレスト代表。ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザー。主に個人の方向けにライフプラン設計や家計診断などを行い、お客様自身が本当に必要だと思える保険を、お客様自身が設計できるようお手伝いをしている。「最低限の保険料で最高の安心を」がモットー。

主担当者コメント
 従業員の退職金原資のための保険としては、他に養老保険を使った「ハーフタックス」プランなどがあり、この場合は半損扱いです。また、役員向けには長期平準定期保険や逓増定期保険などがあり、いずれも基本的には半損扱いです。
 払戻金のあるタイプのがん保険などは全損扱いに出来る反面、払戻時には全額益金扱いとなりますので、タイミングを間違うとただの税金の繰り延べになってしまいます。
 半損商品は当然損金に出来るのも半分ですが、払戻時には保険料積立金と相殺することができます。
どちらが損か得かということはなく、会社の状況・要望に合わせて選択する必要があります。

保険FPからのコメント
 少しでも解約返戻率を上げようと保険会社各社が商品開発に力を入れています。解約返戻率といっても、年齢や性別によって各社が強みを持つ被保険者層は違いますので、検討するときは面倒でも複数社の商品を比べてみると良いと思います。
 法人のがん保険は、現在全額損金計上ができる唯一の商品ですが、今後の税制変更も十分あり得ますので、それを了承した上での加入が望ましいです。

税理士からのコメント
 従業員の退職金の原資としての解約払戻金付きのがん保険なので、前もって退職時期を予想して退職時期に返戻率をピークにもってくるよう工夫が必要です。将来の解約時に返戻金(益金)と退職金(損金)を相殺させることによって法人の節税になります。また従業員は毎月の保険料相当額を給与として貰うよりは、退職金として貰った方が所得税の節税になります。ただ税制は毎年改正されており、保険料の損金の範囲や法人税及び所得税の税率も20年前と現在とでは大きく違っています。解約返戻金の発生は将来の事由ですので、今後の税制や経済状況などの動向を睨みながらの対応が必要になります。
 
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